top of page

Happy Birthday and Releaseー後編

  • 執筆者の写真: Maki Ishimine
    Maki Ishimine
  • 2020年6月20日
  • 読了時間: 3分

更新日:2020年6月21日

ジャケットについては、アートワークやデザインの監修を前々から是非とも木谷雅幸さんにお願いしたいと思っていました。人生やこの世界の放っておけば埋もれて忘れ去られそうになる、かつて大切だった瞬間や思いを、コラージュ作品として再構築されている木谷さん。初めて見るのに心に懐かしい、知らないはずなのに知っているような感覚。儚く美しい誰かの記憶を、繊細な色、繊細なラインで表現なさっていて、大好きなのです。恐る恐るお伺いを立てると、私のお願いを快く承諾してくださいました。


打ち合わせは二月末ぐらいから始まりました。と言ってもFBで仲良くしていただいているものの、まだお会いできてはいません。ご挨拶をしに能登半島まで行ってこようかと思いましたが、ぐっと堪えてこのころから何通ものメールのやりとりを重ねてゆきました。


当初手製本のジャケットは、行先の決まっている5部のみを制作し、後は印刷に出して、組み立てだけ自分でできるような普通の紙ジャケにしようと思っていました。いろいろと調べて検討した結果、外注に出すとディスクもジャケットも今回の必要枚数をだいぶ上回って作られてしまい、費用もかなりかさみます。販売するつもりはないので、コストが膨らむのは避けたかった。でも、それよりも自分の作品の在庫をたくさん抱えることになるのは、もっと嫌でした。手製本ジャケットの試作を作っているうちに、もちろんとても手間はかかるけれど、必要枚数ぐらいは作れるのではないかと思い始め、いつの間にか全てこのやり方で制作することに決めていました。


手製本のジャケットは5部ぐらい試作したんでしょうか。試作ができるたびに木谷さんに送って確認してもらい、改良点などを一緒に検討しました。オブジェクトの大きさ、位置、色…、使う紙の種類。一つ一つのパーツについて、何通ものメールのやり取りを繰り返しました。特に、私にアイディアがなかった表紙と帯については、沢山のメールが行き来しました。木谷さんのアイディアに私のものも重ねる形で、ちょっとずつちょっとずつ落とし何処を見つけて行ったのでした。途中、一ヶ月ほどパソコン関連のトラブルがあり、作業が停滞しましたが、無事に全ての形が決まったのは五月末でした。私はそこから、製品の量産に入ったわけです。


手製本ジャケットは、頑張っても一日2部しかできません。神経を使う作業が何時間も続くのと、自然光のもとでないとやり難くミスが出るため、早朝から日没までと時間を決めて作業を進めました。定規を当ててカッターを使うことをずっと繰り返していると、肘の内側が痛くなり、腱鞘炎のようになりました。余計な負担が掛からないように、道具を新調したり少しいいものに変えたり、そういうことも大切でした。来る日も来る日も手製本をしていると、だんだんと職人になってきます。手に無駄な動きがなくなり、物事がぴたっと決まるようになってきました。疲れはしますが手作業は好きなので、そういう自分の成長もあって、十分楽しんでいました。 6月17日、初版15部リリース前日、無事に作業をやり切ることができました。決して焦ってはできない作業なので、時間的に余裕を持てたことはとてもよかったです。そして翌18日、梱包してポストに投函したのが午前8時。ひと段落して、ほっとして、とても眠くなってしまいました。


数日休みましたが、また明日から製本作業を開始します。次の15部、30番までの製品はいつお届けしようかな。少し考えますのでお待ちください。



 
 
 

Comentarios


bottom of page